Scene 01
学校に行けなくなった日々。
そばが、自信のなかった私を見つけてくれた。
自分には、人に誇れるものなんて何もない。ずっと、そう思っていました。
中学生の頃、病気をきっかけに学校へ行けなくなりました。
周りが前へ進んでいく中で、自分だけが取り残されているようでした。得意なことも、将来やりたいことも分からない。
自分を信じられる理由を、何ひとつ見つけられませんでした。
高校へ進む前の一年間は、新聞配達や家具の仕事をしました。毎日働きながらも、自分が何者なのかは分からないままでした。
そんな私が戸隠分校へ進み、そばと出会いました。最初から、才能があったわけではありません。
粉に水を加え、何度も手を動かし、一枚のそばをつくる。その時間だけは、余計なことを考えずに夢中になれました。
うまくできなかった日も、そばは私を置いていきませんでした。
練習を重ねるうちに仲間ができ、任せてもらえることが増え、少しずつ「自分にもできることがある」と思えるようになりました。
そばは、私に自信を与えてくれただけではありません。自分の居場所と、誰かとつながる方法を教えてくれました。
大学へ進み、私は「そば358」を始めました。
私にとっては当たり前だったそば打ちを教えると、子どもから大人、そして海外の方まで、目を輝かせて喜んでくれました。
言葉が通じなくても、同じそばを囲めば笑顔になれる。自分が続けてきたことが、誰かの大切な思い出になっていく。
そこで、初めて気づきました。
自分にとって当たり前のことは、場所や出会う人が変われば、誰かの特別になる。
そして、そんなものを持っているのは、きっと私だけではありません。
毎日の料理。
畑仕事。
手仕事。
地域に伝わる知恵や物語。
本人や家族にとっては普通すぎて、まだ価値だと気づかれていない「好き」や「得意」が、日本中に眠っています。
ワクシルは、それを見つけるための場所です。
人気や安さだけで選ぶのではなく、
「この人に会ってみたい」
「この人から買いたい」
「この人を応援したい」
そんな気持ちから、体験や買いものが始まる場所をつくりたいと思っています。
そばが、自信のなかった私を見つけてくれました。だから今度は、私が誰かの中に眠っている「当たり前」を見つけにいきます。
あなたの当たり前を、誰かのワクワクへ。
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